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春の歌④そよ風③ [noisy life]

 君といつまでも.jpg

♪二人を 夕闇が つつむ この窓辺に
 明日も 素晴らしい しあわせがくるだろう
  …………
 君は そよ風に 髪を 梳かせて
 やさしく この僕の しとねに しておくれ
 
 今宵も 日が暮れて 時は 去りゆくとも
 二人の 想いは 変わらない いつまでも
(「君といつまでも」詞:岩谷時子、曲:弾厚作、歌:加山雄三、昭和40年)

いまさらですが、なぜ春のここちよい風が「そよ風」なのか。
「そよ風」というのは「そよそよ」と吹く風のこと。「そよそよ」って何さ。
風がここちよく吹くさま、だって。つまり「ぴゅーぴゅー」とか「ごーごー」などと同じ擬音語ということなのでしょう。
風に木の葉がすれる音が、「そうだよそうだよ」→「そうよそうよ」→「そよそよ」と聞こえたという解釈もありましたが。

それが動詞になると「そよぐ」。またまた古い歌で恐縮ですが、
♪晴れた空 そよぐ風 「憧れのハワイ航路」岡晴夫
なんて。あるいは副詞的に、
♪ささやくは 愛の小鳥 そよ吹く風も甘く 「青春のパラダイス」岡晴夫

とにかく「ここちよい風」「ゆるやかな風」というのが「そよ風」。ということは必ずしも「春の風」とは限らない。そうですね、「そよ風」が俳句で春の季語なんて聞いたことはありませんから。
とはいえ、秋のそよ風とか冬のそよ風はもちろん、夏のそよ風というのもあまり耳にしません。
やっぱり「そよ風」が吹く季節は春がいちばんふさわしい。で、いいのではないでしょうか。

となるとやっぱりハッピーソング。

昭和40年代の代表的“最喜愛的流行金曲”といえば加山雄三「君といつまでも」

2人の幸せが永遠に続くと信じて疑わない、ある意味ノウテンキな歌。
しかし、男女を問わず恋愛真っ只中の恋人たちのウソ偽りのない心理であることもまた確か。だからこそあれほど支持され、いまもうたわれ続けているのでしょう。

加山雄三。
いまでいうイケメン。それもホンモノの。父親は往年の美男俳優で、おまけに金持ちのボンボンで慶応ボーイ、つまりインテリときている。それに加えて歌がうまい。ただうまいだけでなく自分で作っちゃう。さらに加えて銀幕のスター、若大将ときちゃあもう……。

その「君といつまでも」とカップリングだったのが当時全盛のエレキサウンド「夜空の星」。さらに「蒼い星屑」「夕陽は紅く」「お嫁においで」「夜空を仰いで」「旅人よ」「霧雨の舗道」とヒット曲を連発。昭和40年代初頭はまさに若大将ブームに。

ほぼ同じ時期に若者に支持されたもうひとりのシンガー・ソングライターが荒木一郎
こちらはフォーク調の「空に星があるように」がラジオからの大ヒット。そのあと「今夜は踊ろう」「いとしのマックス」と自作のヒット曲が。

荒木一郎も母親が女優でそういう意味ではぼんぼん。しかし加山も荒木もそんな親の七光など不必要なほどのブレイクぶり。

二人は好対象で、加山が太陽ならば荒木は月、エレキとアコースティック(実際は荒木一郎もほとんどエレキだったのだけど)。荒木は文科系で加山は体育会系。加山は笑顔が似合ったが荒木には沈黙が似合った、なんて。

もちろんこの二人以外にも若者に支持された男性シンガーはいたけれど、大雑把にいえば、当時この二人のどちらが好きだったかで、その人の性格の一面がわかってしまったり(ホントかよ)。

そういうわたしは荒木一郎に魅かれました。というよりアンチ加山雄三でした。というより若大将にシットしていたわけでして。

当時のガールフレンドが逢うたんびに加山雄三を褒めちぎるのです。「あんな完璧な男はいない」って。ね、アンチになるわけでしょ。シットするわけでしょ。
「あんなヤツのどこがいいの?」と彼女に反論できないほど、あの頃の加山雄三は完璧な男にみえました。本音をいえば加山雄三はカッコよかった。ただし歌がね(まだ言ってる)。

その頃、荒木一郎の歌はラジオで聴くだけだったけど、加山雄三はレコードを買っちゃったものね。彼女には言わなかったけど。

それに彼女のことはともかく、男の間というか、わたしの周りでは「荒木一郎のほうがいいなぁ」っていうと一目置かれたものでして……。なんていうんですか、思索的というのか哲学的というのか、そんな人間に見えるのでしょうか。
いや、わたし同様若大将にシットしてた野郎どもが多かっただけなのかもしれません。

「君といつまでも」。幻のレコード大賞曲。
こういう歌をエヴァーグリーンっていうんじゃないでしょうか。
弾厚作氏の旋律もイカしてますが、岩谷時子女史の詞がまた素晴らしい。女性の黒髪を拡げて彼が横たわる“しとね”にするなんて、男の発想ではでてきませんよ、ほんとに。

そしてこの「君といつまでも」と同じ年にリリースされたのがザ・サベージ「いつまでもいつまでも」。発売はこちらの方が遅いのだけど、「いつまでも」は“あやかり”かはたまた“偶然”か。

こちらも好きな歌ですが、「君といつまでも」が恋愛讃歌なにの対してこちらはハートブレイクソング。
♪そよ風がぼくにくれた 可愛いこの恋を いつまでもいつまでも 離したくないいつまでも
だったんですが、最後は「うしろ姿をいつまでも……」になっちゃうんですね。

サベージの代表曲であり、佐々木勉の名作です。

例によってペース配分知らずの予定超過なので、40年代の「そよ風ソング」を猛スピードで。

♪……あなたの髪に 匂うような 甘いそよ風 「甘いお話」ジャッキー・吉川とブルー・コメッツ
GSには意外と少ない「そよ風ソング」。昭和42年の作品。作曲は「すみれ色の涙」同様、キーボードの小田啓義

♪そよ風みたいにしのぶ あの人はもう 私のことなどみんな 忘れたかしら 「初恋の人」小川知子
女優出身の知子ちゃん。可愛かったなハツラツギャルで。ファンじゃなかったけど。ボーイフレンドのカーレーサーが練習中に死んだという事件もこの歌がヒットしていた頃。

♪その朝は 野アザミが そよ風に ゆれていた 「涙の森の物語」中村晃子
「虹色の湖」に次ぐGS風メルヘンソング。作詞作曲は同じ横井弘、小川寛興のコンビ。「初恋の人」と同じく昭和44年の作品。

47年には安井かずみの名作「折鶴」。彼女らしい乙女チック(死語か?)な世界。
♪これが恋と気づいた そよ風の季節
作曲は浜圭介千葉紘子小柳ルミ子がうたっていました。
この歌が「そよ風ソング」であることはtsukikumoさんに教えてもらいました。

そして48年。
♪そよ風吹いて クッククック 便りがとどけられ 「わたしの青い鳥」桜田淳子
桜田淳子のデビュー曲でこの年のレコード大賞最優秀新人賞に。「そよ風」はアイドル歌謡にはふさわしいマテリアルだもんなぁ。淳子ちゃん51年の「夏にご用心」でも
♪なやましげな なやましげな そよ風吹けば……
とうたっております。(「夏歌」でやれっつうの)

この頃はアイドル歌謡と和製フォークの“同居時代”。いま思えば変な時代ですね。高校生あたりを境に年代で別れていたのでしょうか。
そのフォークにも、
♪あなたの素敵な髪 そよ風まき込み 踊りながら…… 「夏の人」ふきのとう
があります。夏の日の恋。これも48年。これも季節ちがい。

48年ではもう一曲、
♪……野原を歩く そよ風みたいに 甘くゆれながら 「若草の髪飾り」チェリッシュ
これもよく聞こえていました。「わたしの青い鳥」と同じ阿久悠の作品。

「そよ風」が吹いたのはこの頃まででしょうか。
だいたいそよ風が似合うのは抒情的、牧歌的なある意味ファンタジーの世界。
このあとに続くニューミュージックはよくもわるくも都会のリアルな世界やそこで暮らす人間の心情を描いたものが多く、そよ風なんて吹かないのかも。

「君といつまでも」、名曲だけあってカヴァーされています。インストではベンチャーズブルージーンズだけど、やっぱりこの歌はヴォーカル。カールスモーキー石井もいいけど憂歌団が味があるなぁ。後藤真希もうたっているそうですがこれは未聴。

ところで今の若い男どもは彼女のこと「君」っていうのだろうか。「おまえ」だったり名前や愛称だったりするのじゃないかな。
いや待てよ、わたしたちの頃だって女の子に「君」なんて言うヤツほとんどいなかったなぁ。恥ずかしながらわたしも言ったことないもの。そうそう、言われたことはあるな。
「君、わるいけど花見の席取り頼んだわよ」
なんて。


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コメント 8

toty

「いつまでもいつまでも」
「旅人よ」
あたりを、スキー場のジュークボックスで聞いた覚えがあります。

佐々木勉の「旅立つひと」「あなたのすべてを」「小さなしあわせ」
雑誌にでていた楽譜をやぶって、ノートにはさんでありました。

ギターの簡単なコードを覚えて、ひいて仲間と歌っていた
懐かしい歌たちです。

by toty (2009-03-29 00:34) 

tsukikumo

>「君といつまでも」。幻のレコード大賞曲

丁度これが流行った昭和41年からラジオ小僧になって本格的に歌謡曲を聴き始めたので仰りたいイミが分かります。この年の加山人気というのは歌謡界の長い歴史の中でも別格で、ラジオのダイアルをどこ回しても加山だらけ。その後のジュリーも天地真理もキャンディーズも光源氏などのジャニース系も誰もかなわない程凄まじいものでしたね。おそらくこれに対抗できるとすれば全盛期のピンクレディぐらいなものでしょう。だからレコード大賞は当然・・・と誰もが思っていましたね。(「霧氷」は「雨の中の二人」と合わせ技で一本なのかな?と後で思いはしましたが)
これとよく似てるのが昭和47年ですね。「瀬戸の花嫁」がダントツの人気で歌謡大賞も受賞、当然レコ大も・・・。第四コーナーまではブッチ切リのトップ、ゴールも余裕で、と思っていたらハナ差で引っ繰り返されてしまって・・・「喝采」大好きな唄でしたがね。
by tsukikumo (2009-03-29 06:12) 

MOMO

totyさん、こんにちは。

ブログでも拝見しましたがスキーがお好きなんですね。
あの時代? スキーをやってるとはお嬢さんだったんですね。

佐々木勉、いいですよね。50前に亡くなっちゃうんだから残念。生きていればもっとたくさんの曲を書けたのに。

とにかく昭和40年代のはじめって日本が躓く前のいい時代でしたね。


by MOMO (2009-03-30 23:29) 

MOMO

tsukikumoさん、こんにちは。

そう、たしかに加山雄三はスゴかったですね。
ファンは中高生から20代の成人までって感じでしたから。エレキ抱えてたもので男にも人気がありましたしね。
30年代の裕次郎、40年代の雄三と2人のゆうちゃん、なんて。つまんないですか。

なるほど。47年のことは知りませんでした。
あとになれば「喝采」なんでしょうが、たしかに巷に聞こえていたのは圧倒的に「瀬戸の花嫁」でしたものね。「喝采」は受賞してからブレイクって感じですからね。


by MOMO (2009-03-30 23:35) 

都市色

こんにちは。
加山雄三さんも荒木一郎さんも真の意味でのマルチタレントですね。今の芸NO人とは比べ物にならないくらい。
最初は僕も荒木さんの方ばかり評価していましたが、最近改めて加山さんの良さを認識しました。
山下達郎さんが加山さんの初期の曲『ブーメランベイビー』をカヴァーしていました。
憂歌団の「君といつまでも」、『STAY WITH YOU FOREVER』というタイトルでカヴァーしてましたね。味わい深い演奏と歌でしたね。
by 都市色 (2009-04-05 07:37) 

MOMO

都市色さん、こんにちは。

山下達郎のは聴いたことありませんが、「ブーメランベイビー」はイカしてますね。

映画館の休憩時間にトイレしてるときに初めて聴いたのですが、英語オンリーで、まるで60年代のアメリカンポップスでね、はじめは加山雄三とは思いませんでしたからね。

「君といつまでも」はまた誰かにカヴァーしてもらいたいです。
難しいですよね、似てちゃつまらないし、個性を出しすぎてもハズレてしまうし。木村充揮は奇跡のカヴァーでした。

by MOMO (2009-04-08 20:58) 

female

ぼっちゃんで、万人受けする愛の歌を何の疑問もなく歌う加山さんの歌に共感するのは女性だけかも・・。岩谷時子さんは、かわいらしい女性で、あの人が本当の恋へのあこがれで歌ってくれるなら、私はもっと素直に聞いていたような気がします。アンダーグラウンドを思考するロックミュージシャン的音楽ファンの私としては、人間の苦しみを潜り抜けながらもがいているような、それでも自分の心を心から歌っているような荒木さんの歌が好きですね。
by female (2010-07-15 01:10) 

MOMO

femaleさん、古いブログを読んでいただきましてありがとうございます。

femaleさんは「荒木派」なんですね。
ということは男性なんでしょうかね。

別にアンケートを取ったわけではありませんが、わたしの周囲でも男は「荒木派」のほうが多いかな。もちろん「加山派」もいますが。

で、彼らをみると明確ではないですが、文化系と体育会系、思索的と感情的という色分けはある程度あたっているようです。

わたしのようなどっちつかずのコウモリ人間もいますけど。

これからもよろしくお願いします。
by MOMO (2010-07-16 21:36) 

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